【QBGレポート】貴重な国産メープルシロップが生まれる現場を見学してきました!
メープルシロップは、カナダ・ケベック州が世界最大の生産地です。世界でもケベック州や北米の一部でしか自生しない『サトウカエデ』を始めとしたカエデの木から収穫され作られるメープルシロップは、まさに自然界がもたらす恵みそのものです。
しかし、サトウカエデではないカエデの樹種でメープルシロップ作りの生産活動がここ日本で行われていることをご存知でしょうか。日本の一部地域では古くから「楓糖」と呼ばれる日本のメープルシロップが人々に親しまれてきました。この度、当社スタッフが貴重な樹液採取の現場を見学体験させて頂きました!
この度当社スタッフが訪れたのは、山形県の金山町。「金山杉」の生産を始めとした自然の恵み、森林とともに歩んできた土地です。杉林の間に、自生する『エゾイタヤカエデ』や『アカイタヤカエデ』から、メープルシロップ作りに使うカエデの樹液を収穫しています。
杉林に混在するイタヤカエデの木。
約20年前より山村の豊かさの一つとして、メープルシロップ作りの活動をされている「暮らし考房」さんのご協力のもと、採取現場を見学体験させて頂きました!
今年の収穫が始まったのは5日前。雪深い山の中、輪かんじきをつけ足を進めます。樹液を採る木は、直径25センチを超えたイタヤカエデを選びます。この土地ではイタヤカエデの植林も進めていますが、今はまだ幹を収穫に備えて太くさせている最中。森が育つのには時間がかかります。
幹にハンドドリルで直径約20㎜程の穴を開けます。
木を選んで穴をあけても、すぐには樹液が出てこない木もあります。
こちらの幹からは樹液が出てきました!
樹液が出てきた穴に器具を付けると、そこをつたって樹液が容器に貯められるようになります。
約2日程で、容器はいっぱいになるそうです。
幹に聴診器をあててみると、樹木の中を流れる水の音が聞こえました。早春の陽光のあふれる日は樹液がぽたぽたと出て、気温が下がる夕方から朝まで、そして雪の日は樹液を出すのを休むそうです。樹木は「生きもの」なので、穴をあけると「待ってました」とばかりに樹液を出してくれる木もあれば、一滴も出してくれない木もあるそうです。
樹液は透明そのもの!イタヤカエデの樹液は、サトウカエデの樹液よりわずかに糖度が低く、ミネラル分があるため、そのまま冷やして飲めば元気回復の飲み物になるとのこと。杉沢集落では、「泣きイタヤ」とも呼び、カエデの「泪」はほのかに甘く、疲れた体を元気にしてくれると古くから伝えられているとのことでした。また、お料理の際、水の代わりに樹液を使うと、コクがでて美味しく仕上がるそうです。イタヤカエデの樹液でお出汁を作った、特製うどんを頂きました!
イタヤカエデの樹液で出汁を作り仕上げたうどん!ほんのりと甘く、さっぱりとしたお味。
樹液を煮詰めて作ったメープルシロップは褐色色をしており、雪にかけてかき氷シロップとして!
樹液を糖度55%程まで煮詰めると、褐色色のメープルシロップに。(写真左)
雪国ならではの楽しみ方!かき氷のシロップとして♪
また、樹液を使って作ったパンケーキにかけていただきました。
定番のパンケーキにも、樹液を使って。
森の空気を肌で感じながら、森の恵みを頂く。まさに贅沢なひとときでした。イタヤカエデの樹液のメープルシロップは、サトウカエデの樹液とはまたひと味違った、やさしい味わいを感じました。
10日程かけ、1本の木から20リットル程の樹液を出すと、今年の収穫シーズンの終わりを告げるように、樹液はピタッととまるそうです。梢の芽が膨らみ始めるまで、収穫は続きます。
今年の収穫は、まだ始まったばかりです。
【ご協力】暮らし考房 〒999-5411 山形県最上郡金山町杉沢 TEL:0233-52-7132(栗田様)